集中投資が抱えるリスク
「この会社は絶対に大丈夫」。そう思って1つの銘柄に資産の大半を集中させることは、投資における最大のリスクのひとつです。
どんなに優良な企業でも、不祥事、規制変更、技術革新による競争力の喪失など、予測できない事態は起こり得ます。かつて日本を代表する企業だった東芝は、不正会計問題をきっかけに株価が大幅に下落しました。アメリカでも、エネルギー大手エンロンは粉飾決算の発覚で破綻し、株式は無価値になりました。
1社に集中していた投資家は、その1社の運命とともに資産を失います。分散投資の本質は、こうした「予測不能な最悪のケース」から身を守ることにあります。
分散の3つの軸
分散投資には、大きく3つの軸があります。
第一に「銘柄分散」。複数の企業に投資を分けることで、1社の業績悪化が全体に与える影響を小さくします。10社に均等に投資していれば、1社が倒産しても損失は全体の10%にとどまります。
第二に「地域分散」。日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国にも投資を広げることです。日本経済が停滞しても、世界のどこかは成長しています。地域をまたいだ分散は、特定の国のリスクを軽減します。
第三に「時間分散」。一度にまとめて買うのではなく、毎月定額を積み立てていく方法です。高値で一括購入してしまうリスクを避け、購入価格を平準化する効果があります。
全世界株式インデックスという選択
銘柄分散と地域分散を、1つの商品で同時に実現できるのが「全世界株式インデックスファンド」です。
たとえば「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、日本を含む先進国と新興国の約3,000銘柄に分散投資しています。これ1本を持つだけで、世界中の企業の成長を幅広く取り込むことができます。
個別銘柄を選ぶ知識や時間がなくても、インデックスファンドを通じて十分な分散が得られます。「何を買えばいいかわからない」という人にとって、全世界株式インデックスはもっとも合理的な出発点のひとつです。
積立投資は時間の分散
「いつ買えばいいかわからない」という悩みに対する、もっとも実用的な答えが積立投資です。
毎月決まった金額を自動で買い付けていく仕組みは、相場の上下に関係なく機械的に投資を続けます。価格が高いときには少なく、価格が安いときには多く買うことになるため、結果的に購入単価が平準化されます。
これを「ドルコスト平均法」と呼びます。タイミングを読む必要がなく、感情に左右されにくいという点で、長期投資との相性が非常に良い手法です。
分散でも避けられないリスク
分散投資は万能ではありません。リーマンショックやコロナショックのように、世界中の市場が同時に下落する「システミックリスク」に対しては、株式の分散だけでは守り切れません。
こうしたリスクに備えるには、株式以外の資産クラス、たとえば債券や現金を一定割合で保有しておくことが有効です。また、生活防衛資金を別に確保しておくことで、暴落時に投資を取り崩す必要がなくなります。
分散投資の目的は「絶対に損をしない」ことではなく、「致命的な損失を避ける」こと。退場さえしなければ、時間が味方になってくれます。