暴落の定義
株式市場における「暴落」に、厳密な定義があるわけではありません。ただし一般的には、主要な株価指数が直近の高値から20%以上下落した状態を「暴落」あるいは「弱気相場(ベアマーケット)」と呼びます。
10%程度の下落は「調整(コレクション)」と呼ばれ、これは数年に一度は普通に起きる現象です。20%を超える下落は、それよりも深刻で、経済全体に影響を及ぼすような構造的な問題を伴うことが多くなります。
暴落は突然やってきます。数日から数週間で急激に株価が下がり、ニュースが不安を煽り、投資家が一斉に売りに走る。その連鎖が、さらなる下落を生みます。
歴史に刻まれた暴落
過去100年の間に、世界の株式市場はいくつもの大きな暴落を経験してきました。
2008年のリーマンショックでは、S&P500が高値から約57%下落しました。アメリカの住宅バブル崩壊を発端に、世界中の金融機関が連鎖的に危機に陥り、実体経済にも深刻な打撃を与えました。
2000年のITバブル崩壊では、ナスダック総合指数が約78%下落しています。インターネット関連企業への過剰な期待が膨らみ、実態を伴わない株価が一気に剥がれ落ちました。
2020年のコロナショックでは、S&P500がわずか1ヶ月で約34%下落。パンデミックという未知の脅威に対して、市場が恐怖で反応した典型的な例です。
どの暴落にも共通するのは、「そのとき、多くの人が"もう終わりだ"と感じた」ということ。そして、市場はそのあとも続いたということです。
暴落はどのくらいの頻度で起きるか
20%以上の下落、つまり「暴落」と呼べる規模の下落は、おおよそ10年に1〜2回の頻度で発生しています。10%程度の調整であれば、ほぼ毎年どこかで起きています。
これは「異常事態」ではなく、株式市場の正常な動きの一部です。市場は上がり続けるものではなく、上昇と下落を繰り返しながら、長期的には成長してきました。
投資を20年、30年と続けるなら、その間に2〜3回の暴落を経験するのはほぼ確実です。問題は「暴落が来るかどうか」ではなく、「来たときにどう行動するか」です。
暴落のあとに起きたこと
歴史が示す事実があります。過去のすべての暴落のあと、市場は回復しています。
リーマンショック後、S&P500は約5年半で暴落前の水準を回復しました。そこからさらに上昇を続け、2024年までに暴落前の水準の5倍以上になっています。
コロナショック後の回復はさらに速く、わずか約5ヶ月で暴落前の高値を超えました。各国政府と中央銀行の大規模な金融緩和が、異例の速さでの回復を後押ししました。
ITバブル崩壊後は回復に約7年かかりましたが、それでも市場は戻りました。回復にかかる時間は暴落の性質によって異なりますが、「回復しなかった暴落」は、世界の主要な株式市場の歴史において存在しません。
暴落時にすべきこと、してはいけないこと
暴落時にもっとも大切なのは、「何もしない」ことです。正確に言えば、パニックに駆られて売却しないことです。
暴落の最中に売ってしまうと、「安い価格で手放す」という最悪の結果になります。そして、回復のタイミングを見極めて買い戻すことは、プロの投資家でさえ極めて困難です。
積立投資を続けているなら、暴落はむしろ好機です。同じ金額でより多くの口数を買えるため、回復後のリターンが大きくなります。淡々と積立を続けることが、長期投資における最善の行動です。
避けるべきは、ニュースやSNSの悲観論に影響されて投資方針を変えること。暴落のさなかに冷静でいるのは難しいことですが、事前に「暴落は来る」と知っているだけで、心の準備は大きく変わります。