投資を始めても、防衛資金は別に保つ
投資を始める前に生活防衛資金を確保する。これは資産形成の基本中の基本です。しかし、投資を始めたあとにこそ、防衛資金の意味はより深くなります。
投資を続けていると、資産が増えていく感覚に慣れてきます。すると「この防衛資金も投資に回せば、もっと増えるのに」という誘惑が生まれます。しかし、生活防衛資金は「投資の成績を上げるためのお金」ではありません。「投資を続けるためのお金」です。
防衛資金がなければ、急な出費が発生したときに投資を取り崩すしかありません。そしてそのタイミングが暴落の最中であれば、最悪の価格で売却することになります。防衛資金は、投資を守る最後の砦です。
ライフイベントによる見直し
生活防衛資金の適正額は、生活の状況によって変わります。独身で安定した収入があるときと、家族が増えたときでは、必要な備えの規模が異なります。
結婚すれば世帯の支出構造が変わります。出産を控えていれば、収入が一時的に減る期間を想定する必要があります。転職を考えているなら、次の収入が確定するまでの空白期間を乗り越える資金が必要です。
一般的な目安として、会社員であれば生活費の3〜6ヶ月分、自営業やフリーランスであれば6〜12ヶ月分が推奨されます。ただしこれはあくまで目安であり、自分の生活に合った金額を考えることが大切です。
ライフイベントのたびに「今の防衛資金は十分か」を問い直す習慣を持つこと。それは投資判断と同じくらい重要な行為です。
防衛資金を投資に回したくなる誘惑
相場が好調なとき、防衛資金が銀行口座で眠っているのを見ると、もったいないと感じるかもしれません。「ほんの少しだけ投資に回そう」という気持ちは自然なものです。
しかし、防衛資金を削って投資に回すことは、保険を解約して株を買うようなものです。何も起きなければ問題ありませんが、何かが起きたとき、取り返しがつきません。
投資に回す金額を増やしたいなら、防衛資金を削るのではなく、収入を増やすか、支出を見直すことで投資原資を作るのが正しい順序です。防衛資金は「投資していないお金」ではなく、「投資を守るために働いているお金」だと認識することが大切です。
防衛資金の置き場所
生活防衛資金は、すぐに引き出せることが最優先です。利回りを追求する場所ではありません。
もっとも基本的な置き場所は、ネット銀行の普通預金です。メガバンクと比べて金利が高い場合が多く、スマートフォンからいつでも確認・引き出しができます。元本保証があり、預金保険制度の対象(1,000万円まで)なので安全性も確保されています。
もう少し利回りを意識するなら、個人向け国債(変動10年)も選択肢になります。最低金利0.05%が保証されており、購入から1年経過すれば中途換金も可能です。ただし、すぐに現金化できない期間がある点には注意が必要です。
防衛資金の置き場所で重要なのは、「増やすこと」ではなく「減らさないこと」と「すぐに使えること」。この2点を満たしていれば、それで十分です。