「年利10%保証」は存在しない
「元本保証で年利10%」「毎月確実に配当が入る」。こうした言葉を見かけたら、まず疑ってください。世界中の金融市場で、リスクなしに年利10%を安定的に得られる投資商品は存在しません。
株式市場の長期的な平均リターンは、S&P500で年率約7〜10%(インフレ調整前)です。これは数十年単位の平均であり、途中で大きな下落を何度も経験しながら達成された数字です。リスクを取らずにこの水準を保証できる仕組みはありません。
「保証」という言葉がついた高利回りの話は、ほぼすべて詐欺か、リスクが見えないように隠されている商品です。金融の世界では、リターンとリスクは常に表裏一体です。高いリターンには、必ず高いリスクが伴います。
高配当銘柄の見えにくい落とし穴
配当利回りが高い銘柄は魅力的に見えます。しかし、利回りの数字だけを見て飛びつくのは危険です。
配当利回りは「年間配当金 / 株価」で計算されます。つまり、配当金が変わらなくても、株価が大幅に下落すれば利回りは上がります。配当利回り8%の銘柄が、実は業績悪化で株価が半分になった結果だった、ということは珍しくありません。
このような銘柄では、配当で得た利益以上に株価の下落で損をする可能性があります。さらに、業績が悪化すれば配当自体が減額(減配)されたり、なくなったり(無配)することもあります。
高配当銘柄を検討するときは、「なぜ利回りが高いのか」を必ず確認してください。業績が安定していて、長年にわたり配当を維持・増額しているか。それとも、株価の下落によって利回りが見かけ上高くなっているだけか。この違いを見分けることが重要です。
毎月分配型投資信託の問題
「毎月お金がもらえる」という仕組みは心理的に安心感がありますが、毎月分配型の投資信託には注意が必要です。
分配金には2種類あります。運用で得た利益から支払われる「普通分配金」と、元本を取り崩して支払われる「特別分配金(元本払戻金)」です。後者は、自分のお金が戻ってきているだけで、実質的には利益ではありません。
これを「タコ足配当」と呼びます。タコが自分の足を食べるように、元本を削りながら分配金を出し続ける状態です。毎月分配金を受け取っていても、基準価額(投資信託の価格)がじわじわ下がっていれば、トータルでは損をしていることになります。
長期の資産形成を目指すなら、分配金を出さずに運用益を再投資する「無分配型」のインデックスファンドのほうが、複利効果を最大限に活かせます。
ポンジスキームの仕組み
投資詐欺の古典的な手口が「ポンジスキーム」です。新しい投資家から集めたお金を、既存の投資家への「配当」として支払う仕組みです。実際には運用など行われておらず、新規の資金が途絶えた時点で破綻します。
この手口が巧妙なのは、初期の投資家には実際に「配当」が支払われるため、「本当に儲かっている」と信じてしまうことです。満足した投資家が友人や家族を紹介し、資金が雪だるま式に集まります。しかし、新規資金の流入が鈍ると、突然すべてが崩壊します。
アメリカで2008年に発覚したバーナード・マドフ事件は、被害総額が約650億ドル(当時の為替で約6兆円)という史上最大のポンジスキームでした。被害者には銀行やヘッジファンドなどのプロも含まれていました。
見分けるための判断基準
高利回りの話に出会ったとき、自分に問いかけてほしい質問があります。「なぜその利回りが実現できるのか、自分の言葉で説明できるか?」。
正当な投資商品であれば、利回りの源泉は説明可能です。株式なら企業の利益成長、債券なら利息、不動産なら賃料収入。仕組みが理解できないもの、説明を求めても曖昧な回答しか返ってこないものには、手を出さないのが賢明です。
また、「今だけ」「あなただけ」「急がないと枠が埋まる」といった言葉で判断を急がせる勧誘も、詐欺の典型的なパターンです。本当に良い投資機会であれば、冷静に検討する時間を奪う必要はありません。
迷ったときは、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で、その業者が正規の登録を受けているか確認してください。無登録の業者による投資勧誘は、それだけで違法です。