はじめの棚 — VALUATION BASICS

PERとPBR
株価の割安・割高を測る

株価が高いか安いかは、株価だけでは判断できない。
企業の利益や資産と比較して初めて「割安・割高」が見えてくる。

PER(株価収益率)とは

PERは「株価が1株あたり利益の何倍か」を示す指標である。

PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)

たとえば、株価が2,000円で、EPSが100円なら、PERは20倍。「利益の20年分の値段で買っている」ということを意味する。

PERの目安:

  • 日本株の平均PERは概ね13〜17倍程度
  • 成長企業はPERが高くなりやすい(将来の利益成長を織り込むため)
  • 景気敏感株や業績の波が大きい企業はPERだけで判断するのが難しい
  • PERが低い=割安とは限らない。利益が一時的に膨らんでいるだけかもしれない

PERの逆数(1÷PER)は「株式益利回り」と呼ばれ、債券の利回りと比較するのに使われる。PER20倍なら益利回りは5%。これが長期国債の利回りより高いかどうかが一つの判断材料になる。


PBR(株価純資産倍率)とは

PBRは「株価が1株あたり純資産の何倍か」を示す指標である。

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

PBRが1倍未満ということは、帳簿上の解散価値よりも株価が安いことを意味する。日本株にはPBR1倍割れの企業が多数存在し、東証もPBR改善を求めている。

PBRの見方:

  • PBR 1倍未満 — 帳簿価値より安い。割安の可能性があるが、低収益の烙印でもある
  • PBR 1〜3倍 — 標準的。ROE(自己資本利益率)とセットで見る
  • PBR 3倍以上 — 高い収益力やブランド力への期待が反映されている

PERとPBRの関係:ROEが見える

実は、PERとPBRには密接な関係がある。

PBR = PER × ROE

つまり、PBRが高い企業は「PERが高い(将来への期待が大きい)」か「ROEが高い(稼ぐ力が強い)」か、またはその両方である。

ROE(自己資本利益率)は「株主の資本をどれだけ効率よく使って利益を出しているか」を示す。ROEが高い企業はPBRが高くても正当化されやすい。

バフェットは「ROEが高い企業を合理的な価格で買う」ことを重視する。PERとPBRを組み合わせて見ることで、この視点が実践できる。

指標は「答え」ではなく「問い」を立てるための道具である。
PERが低いのはなぜか。PBRが高いのはなぜか。
数字の裏にある企業の実態を考えることが、分析の本質である。


指標を使うときの注意点

  • PERは赤字企業には使えない(分母がマイナスになるため)
  • 一時的な特別利益・特別損失があると、PERが大きく歪む
  • PBRの「純資産」には含み益や含み損が十分に反映されていない場合がある
  • 業種によって「標準的な水準」が大きく異なる。同業種内で比較することが重要
  • 未来の成長を測る指標ではない。過去の数字に基づくスナップショットである
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指標の基礎を学んだら、次はFCFで企業の実力を読む方法、そして企業分析の全体像へ。