WHAT IS ANCHORING
アンカリング効果とは何か
アンカリング効果とは、最初に提示された情報(アンカー)が、その後の判断に過度な影響を与える認���バイアスである。
カーネマンとトベルスキーの実験は有名だ。被験者にルーレットを回させ、出た数字(10か65)を見せた後、「アフリカの国連加盟国の割合は?」と質問した。ルーレットで10を見た群は平均25%、65を見た群は平均45%と答えた。まったく無関係な数字が、判断を歪めたのである。
投資の世界では、このバイアスが日常的に作用している。そして、そのことに気づいている投資家は少ない。
IN INVESTING
投資判断でのアンカリング
- 買値アンカー — 自分が1,000円で買った株は「1,000円の株」として認識される。株価が800円に下がると「損している」と感じ、1,200円に上がると「得している」と感じる。しかし企業の本質的価値は、あなたの買値とは何の関係もない
- 過去の高値アンカー — 「この株は以前3,000円だったから、今の1,500円は割安だ」という思考。しかし過去の株価は、現在の企業価値を判断する根拠にはならない
- アナリスト予想アンカー — 「目標株価2,000円」というレポートを見ると、それが判断の基準点になる。しかしアナリスト予想は外れることが多い
- 52週高値/安値アンカー — 「52週安値に近いから買い」「52週高値に近いから売り」という判断は、企業価値の分析ではなく、過去の株価への依存である
COUNTERMEASURES
アンカリングへの対策
アンカリング効果を完全に排除することは不可能である。しかし、その影響を最小化する方法はある。
- 独自の企業価値評価を先に行う — 株価を見る前に、財務データから内在価値を算出する
- 買値を忘れる — ポートフォリオの含み損益を見ずに、企業の現在の状況だけで判断する
- 複数の独立した評価手法を使う — DCF、PER比較、EV/EBITDA等、複数の角度から価値を測る
- 反転して考える — マンガーの教え。「なぜこの株は割安ではないのか」と逆から問う
アンカリングの最大の危険は、それが無意識に作用することである。
「自分はバイアスの影響を受けていない」と思っている人ほど、
実際にはバイアスに強く影響されている。