投資信託の基本的な仕組み
投資信託とは、多くの投資家から少しずつ資金を集め、ひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が株式や債券などに投資・運用する金融商品である。
個人で世界中の株式を数百銘柄買おうとすれば、数千万円の資金が必要になる。しかし投資信託を使えば、100円や1,000円といった少額から、実質的に数百〜数千の銘柄に分散投資できる。これが投資信託の最大の特徴だ。
投資信託には三つの主体が関わる。「販売会社」(証券会社や銀行)が投資家への窓口を担い、「運用会社」がどの資産にいくら投資するかを判断し、「信託銀行」が資産を安全に管理する。投資家のお金は信託銀行に分別管理されるため、仮に運用会社が倒産しても、資産は法的に保護される。
インデックス型とアクティブ型
投資信託は大きく「インデックス型」と「アクティブ型」に分かれる。
インデックス型は、日経平均やS&P500といった特定の指数(ベンチマーク)に連動するように設計されている。市場の平均的なリターンを得ることを目的とし、運用コストが低い傾向がある。代表的なものにeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)やSBI・V・S&P500インデックス・ファンドがある。
アクティブ型は、ファンドマネージャーが独自の調査・分析にもとづいて銘柄を選び、市場平均を上回るリターンを目指す。調査コストがかかるため信託報酬は高めになる。ただし、長期的に見ると市場平均を継続的に上回り続けるアクティブファンドは少数であるという研究結果が多い。
| 項目 | インデックス型 | アクティブ型 |
|---|---|---|
| 運用方針 | 指数に連動 | 指数を上回ることを目指す |
| 信託報酬(目安) | 年0.05%〜0.2% | 年0.8%〜1.8% |
| 銘柄選定 | 指数の構成銘柄に機械的に投資 | マネージャーが裁量で選定 |
| 長期成績の傾向 | 市場平均に近い | 平均を下回るものが多い |
基準価額とは何か
投資信託の値段は「基準価額」と呼ばれる。これは、ファンドが保有する株式や債券などの資産の時価総額から運用コストを差し引き、総口数で割ったものだ。多くのファンドでは1万口あたりの金額として表示される。
基準価額は1日1回、市場の終値をもとに算出される。株式のようにリアルタイムで変動するわけではなく、注文時点では正確な約定価格がわからない「ブラインド方式」が採用されている。これは、既存の投資家が不利にならないための仕組みである。
基準価額が高いから「割高」、低いから「割安」というわけではない。基準価額は単なる一口あたりの純資産額であり、株価のように企業価値を反映するものとは性質が異なる。大切なのは基準価額の水準ではなく、時間とともにどう変化しているかという推移である。
分配金の仕組み:受取型と再投資型
投資信託の中には、運用益の一部を「分配金」として定期的に支払うものがある。分配金には「受取型」と「再投資型」の二つの選択肢がある。
受取型は、分配金が現金として口座に振り込まれる。定期的な収入を得たい人には向いているが、分配金が支払われるたびに基準価額はその分だけ下がる。つまり、分配金はファンドの資産を取り崩しているに過ぎず、「もらえる利益」ではない点に注意が必要だ。
再投資型は、分配金を自動的にそのファンドの追加購入に回す。複利効果を最大限に活かしたい長期投資家にとっては、再投資型が合理的な選択となる。実際、長期の資産形成を目的とするインデックスファンドの多くは、分配金を出さない方針を採っている。分配金を出さないことで、課税のタイミングを先送りし、効率的な複利運用が可能になるからだ。
投資信託を選ぶときの視点
投資信託は日本国内だけで約6,000本存在する。その中から選ぶとき、最低限確認すべき点がいくつかある。
まず「何に投資しているか」。全世界株式、先進国株式、国内株式、債券、不動産(REIT)など、投資対象によってリスクとリターンの特性は大きく異なる。次に「信託報酬の水準」。同じ指数に連動するファンドであれば、コストが低いほど投資家の手元に残るリターンは大きくなる。
そして「純資産総額」も重要な指標だ。純資産が小さすぎるファンドは、運用の効率が悪くなったり、繰上償還(ファンドの強制終了)のリスクがある。目安として、純資産総額100億円以上のファンドを選ぶと安心感がある。
最後に「つみたて投資枠の対象かどうか」。新NISAのつみたて投資枠の対象に選ばれているファンドは、金融庁が一定の基準(低コスト、長期運用向き等)でスクリーニングしたものであり、初心者にとって有力な選択肢の絞り込みになる。