ASSET BUILDING · はじめての資産形成

NISA・iDeCo・課税口座の違い

3つの器の特徴を一目で整理する。どこにお金を置くかで、手元に残る金額は変わる。

3つの器

投資を始めるとき、「何を買うか」と同じくらい大切なのが「どこで買うか」、つまり口座の種類を選ぶことだ。

日本には、投資商品を入れる「器」が大きく分けて3種類ある。NISA、iDeCo、そして課税口座(特定口座・一般口座)。同じ投資信託を買っても、どの器に入れるかで税金の扱いが変わり、最終的に手元に残る金額が違ってくる。

それぞれに長所と制約がある。自分の目的と状況に合った器を選ぶことが、資産形成の効率を大きく左右する。


新NISA(2024年〜)

2024年1月に始まった新NISAは、投資で得た利益が非課税になる制度。従来のNISAから大幅に拡充され、長期の資産形成に適した設計になっている。

つみたて投資枠は、年間120万円まで。金融庁が定めた基準を満たす投資信託・ETFが対象で、長期・分散投資に適した商品に限定されている。

成長投資枠は、年間240万円まで。つみたて投資枠の対象商品に加え、個別株式やより幅広い投資信託も購入できる。ただし、レバレッジ型や毎月分配型など一部の商品は除外されている。

2つの枠は併用可能で、年間最大360万円の投資が非課税で行える。非課税保有限度額は合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。売却すれば、翌年以降に枠が復活する仕組みもある。

大きな特徴は、いつでも引き出せること。急な出費があっても、売却して現金化できる。非課税期間は無期限で、制度そのものも恒久化された。多くの人にとって、最初に使うべき器はNISAだ。


iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、老後資金の準備に特化した制度。3つの税制優遇がある。

掛金が全額所得控除になる。たとえば月2万円を拠出すれば年間24万円が所得から差し引かれ、所得税・住民税が軽減される。年収や税率によるが、節税効果は年数万円に達することもある。

運用益が非課税。NISAと同様、投資で得た利益に税金がかからない。

受取時にも控除がある。一時金として受け取る場合は退職所得控除、年金として受け取る場合は公的年金等控除が適用される。

ただし、最大の制約は原則60歳まで引き出せないこと。老後資金としての確実性は高いが、それ以外の目的には使えない。

月額の上限は立場によって異なる。会社員(企業年金なし)は月23,000円、企業型確定拠出年金がある会社員は月20,000円、公務員は月12,000円、自営業者は月68,000円。加入時には手数料もかかる。


課税口座(特定口座・一般口座)

NISAやiDeCoの枠を使い切った場合、あるいは制度の対象外の商品に投資したい場合に使うのが課税口座。投資金額に上限はなく、どんな商品でも自由に売買できる。

利益には20.315%(所得税15.315% + 住民税5%)の税金がかかる。100万円の利益が出れば、約20万円が税金として引かれる計算だ。

特定口座(源泉徴収あり)を選べば、証券会社が税金の計算と納付を代行してくれるため、確定申告が不要になる。投資初心者にはこの設定が無難だ。

課税口座は「不利な口座」と思われがちだが、引き出しの制限がなく、投資対象の制限もない。NISAの枠を超えた投資や、NISA対象外の商品を買いたい場合には、必然的にこの器を使うことになる。


3つの器を比較する

新NISA iDeCo 課税口座
運用益の税金 非課税 非課税 20.315%課税
掛金の所得控除 なし 全額控除 なし
年間投資上限 360万円 14.4〜81.6万円 制限なし
非課税保有限度 1,800万円 上限なし 対象外
引き出し いつでも可能 原則60歳まで不可 いつでも可能
向いている人 幅広い目的の資産形成 老後資金の準備 NISA枠を超えた投資
器を選ぶことは、投資商品を選ぶことと同じくらい大切な判断。まずNISA、余力があればiDeCo、それでも足りなければ課税口座。この順番が基本になる。