ETF & FUNDS · ETF・投資信託の部屋

積立投資の始め方

NISAとの組み合わせ。実践への最初の一歩を整理する。

積立投資の仕組み

積立投資とは、毎月(あるいは毎週・毎日)決まった金額を自動的に投資信託やETFに投資する方法だ。一度設定すれば、証券会社が指定日に自動で買い付けてくれる。

この方法の最大の利点は、投資のタイミングを考えなくてよいことだ。「今は高いから待とう」「もっと下がるかもしれない」といった判断は、プロでも正確にはできない。積立投資はそのような判断を放棄し、機械的に買い続けることで、時間分散の効果を得る。

証券会社によっては、月100円から積立を設定できる。まとまった資金がなくても、今の生活の中で無理のない金額から始められるのが積立投資の良いところだ。


ドルコスト平均法の効果

毎月一定金額を投資する方法を「ドルコスト平均法」と呼ぶ。この方法では、価格が高いときには少ない口数を、価格が安いときには多くの口数を自動的に購入することになる。

例えば、毎月1万円を積み立てる場合を考えてみよう。基準価額が10,000円のときは1口、8,000円に下がったときは1.25口、12,000円に上がったときは約0.83口を購入する。結果として、平均購入単価は単純平均よりも低くなる傾向がある。

ただし、ドルコスト平均法は万能ではない。市場が一貫して右肩上がりの場合、最初にまとめて投資した方がリターンは高くなる。あくまで「タイミングを測れない人が、心理的負担を減らしながら市場に参加する方法」として理解するのが正確だ。

重要なのは、暴落時にも積立を続けることだ。基準価額が下がったとき、同じ金額でより多くの口数を買えるのがドルコスト平均法の本質である。暴落時に積立をやめてしまえば、この仕組みの恩恵を受けられない。


新NISAつみたて投資枠の活用

2024年1月から始まった新NISAは、積立投資と非常に相性がよい制度だ。新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つがあり、積立投資には主につみたて投資枠を使う。

項目つみたて投資枠成長投資枠
年間投資上限120万円240万円
生涯投資上限合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
対象商品金融庁が指定した投資信託・ETF上場株式・投資信託・ETF等
非課税期間無期限無期限
売却時翌年に投資枠が復活

つみたて投資枠の対象ファンドは、金融庁が「長期・積立・分散投資に適している」と判断した約280本に限定されている。販売手数料が無料(ノーロード)であること、信託報酬が一定水準以下であることなどが条件だ。この絞り込みがあるおかげで、初心者でも「変な商品を掴まされる」リスクが低い。

つみたて投資枠で年間120万円(月10万円)、さらに成長投資枠も使えば年間360万円(月30万円)まで非課税で投資できる。通常、投資の利益には約20%の税金がかかるが、NISA口座ではこれがゼロになる。長期になるほど、この非課税メリットは大きくなる。


具体的な始め方:4つのステップ

ステップ1:証券口座を開設する
ネット証券(SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)で口座を開設する。同時にNISA口座の開設も申し込む。NISA口座は一人一口座しか持てないため、どの証券会社で開くかは事前に決めておこう。手数料の安さ、取扱商品の豊富さ、ポイント制度などが選ぶ基準になる。口座開設には通常1〜2週間程度かかる。

ステップ2:ファンドを選ぶ
つみたて投資枠の対象ファンドから、自分の投資方針に合ったものを選ぶ。迷ったら、全世界株式のインデックスファンド(eMAXIS Slim全世界株式など)を1本選ぶのが最もシンプルだ。全世界に分散されているため、「どの国が伸びるか」を予測する必要がない。

ステップ3:金額を設定する
毎月の積立金額を決める。生活防衛資金(生活費の3〜6ヶ月分)を確保した上で、無理のない範囲で設定する。月5,000円でも、月1万円でもよい。大切なのは、相場が下がっても続けられる金額であること。余裕ができたら後から増額すればよい。

ステップ4:自動積立を設定する
証券会社のサイトで、積立日・金額・ファンド・引落方法(銀行口座やクレジットカード)を設定する。クレジットカード積立に対応している証券会社なら、ポイント還元も受けられる。設定が完了すれば、毎月自動的に投資が実行される。

積立投資の最大の敵は、相場の暴落ではなく、途中でやめてしまうこと。設定したら、できるだけ見ない。静かに積み上がっていく時間を、味方にすること。

始めた後に大切なこと

積立投資を始めた後、最も大切なのは「続けること」だ。市場は必ず下落する局面がある。含み損を目にして不安になることもあるだろう。しかし、積立投資の設計思想は、そのような局面も含めて長期的に市場の成長に参加することにある。

日常的にすべきことは、ほぼない。毎日基準価額をチェックする必要もない。年に1〜2回、資産配分が大きくずれていないかを確認する程度で十分だ。むしろ、頻繁に確認するほど、短期的な値動きに心が揺さぶられやすくなる。

積立投資は、派手さのない静かな行為だ。しかし、10年、20年と続けたとき、その静かな積み重ねが大きな力になる。始めること以上に、続けることに意味がある。