人間の脳は、毎秒膨大な量の情報を受け取っています。そのすべてを処理していたら、脳はパンクしてしまいます。そこで脳は、RAS(Reticular Activating System=網様体賦活系)というフィルターを使って、重要な情報だけを意識に上げています。
新しい車を買うと、街中で同じ車ばかり目に入るようになる——あの現象がRASの働きです。車そのものが増えたわけではなく、脳のフィルターが「この車は重要だ」と設定されたのです。
「ブレイン・プログラミング」の著者であるアラン・ピーズとバーバラ・ピーズは、このRASの仕組みを活用した目標達成法を提唱しています。
彼らの核心的なメッセージはシンプルです。
「あなたの脳は、あなたが明確に指示したものを探し出す。曖昧な指示には、曖昧な結果しか返ってこない。」
ブレインプログラミングの要点は、目標を「脳が処理しやすい形」で設定することです。漠然と「お金持ちになりたい」と思うのではなく、具体的で、期限があり、測定可能な形にする。
投資に置き換えると——「いい銘柄を見つけたい」ではなく「FCFが5年連続で成長している企業を毎週3社分析する」と設定する。すると、日経新聞を読むときも、決算短信を見るときも、脳が自動的にその条件に合う情報をピックアップしてくれます。
投資においてRASが特に有効なのは、企業分析の精度を上げる場面です。「この企業のmoatは何か?」という問いを持って決算書を開くと、なんとなく眺めるよりも遥かに多くの情報が目に入ります。
マンガーが「メンタルモデル」を重視したのも、同じ原理です。多くの思考フレームワークを持っているほど、脳のフィルターが多面的に情報を捉えてくれる。