通信会社から「AIへの投資会社」へ変貌した孫正義の賭け。
ARM・ビジョンファンドが評価の核心であり、最大の不確実性でもある。
ソフトバンクグループ(SBG)は、一般的な「通信会社」ではなく、「テクノロジー企業への戦略的投資を行う持株会社」として自らを定義している。傘下にはソフトバンク(通信子会社・上場)・ARM(半導体IPの世界的リーダー・米ナスダック上場)・ビジョンファンド(AIスタートアップへのVC投資)などを持つ。
ARMは、スマートフォン・IoT・データセンター・自動車向けチップの設計に使われるプロセッサアーキテクチャを提供し、世界のチップ設計の大半で採用されている。AIブームによるデータセンター向け需要の急増が、ARMの評価を大きく押し上げている。SBGの株価は事実上「ARMの株価連動」に近い状態だ。
ビジョンファンドは世界中のAI・テクノロジースタートアップに巨額投資を行ってきたが、2022年の金利上昇・テック株暴落で大幅な損失を計上した。現在は投資を絞り、ARMを核としたAI戦略に軸足を移している。「情報革命を通じて人々を幸せにする」というビジョンは変わらないが、その手段は常に変化し続ける。
6つのmoatタイプ別に、SBGの競争優位の強さを評価する。●が多いほど強い(最大5)。SBGのmoatはARMが主体。
SBGのmoatはほぼ「ARM」に集約される。
ARMのIPライセンスは世界の半導体設計の通行料であり、スイッチングコストは事実上無限大に近い。AIチップ需要の爆発的拡大が、ARMの価値を根本から底上げしている。
※概算値・参考値。投資判断の根拠にしないこと。必ず一次情報をご確認ください。
ARM価値の変動:SBGの株価はARMの時価総額に強く連動する。ARM株が下落すればSBGのNAVも大きく減少し、株価も追随する。テック株全体の調整局面は直撃リスクとなる。
高レバレッジ:大規模な有利子負債を抱えた経営スタイルは、金利上昇・信用収縮局面で財務的な脆弱性を露呈することがある。2022〜2023年がその好例だ。
孫正義リスク:経営判断が孫正義個人の信念とビジョンに大きく依存している。後継者問題・意思決定の不透明さは長期投資家にとってのリスク要因だ。
競合アーキテクチャ:ARMに対してはRISC-V(オープンソース)などの代替アーキテクチャが台頭しつつある。長期的なモートへの影響は引き続き注視が必要だ。