一度入り込んだシステムは容易に変えられない。
官公庁・金融機関との深い関係が、SIer最大のモートを形成する。
NTTデータグループはNTTグループのITサービス部門として独立し、現在は国内最大のSIer(システムインテグレーター)として、官公庁・金融機関・大企業向けのITシステム構築・運用・保守を主力事業とする。2023年にNTTデータからNTTデータグループへ商号変更し、グローバル展開を加速している。
収益の柱は長期契約による安定した保守・運用収入だ。一度導入した基幹システム(銀行の勘定系・行政システム・電力インフラ管理など)は10〜20年単位で使われ続け、移行コストが莫大になるため、顧客はほぼ変えない。このスイッチングコストの高さがNTTデータの最大の競争優位だ。
近年はクラウド・DX領域への対応を強化している。従来の受注型SIから、クラウドサービス・マネージドサービスへの転換を図り、利益率の改善を目指している。また、欧米・アジアへのグローバル展開により、単一の国内市場への依存度を下げる戦略を推進中だ。
6つのmoatタイプ別に、NTTデータGの競争優位の強さを評価する。●が多いほど強い(最大5)。
NTTデータGのmoatの核心は「スイッチングコスト5/5」にある。
日本の銀行・行政・インフラを動かすシステムを担っている。これを変えるコスト・リスク・時間は膨大であり、顧客は合理的に変えない。この「ロックイン」こそがSIerビジネスの本質的な優位性だ。
※概算値・参考値。投資判断の根拠にしないこと。必ず一次情報をご確認ください。
利益率の低さ:SIer業務は労働集約的で利益率が低い。クラウド・サービス型への転換が進まなければ、高い売上規模に対して利益が薄い構造が続く。
人材獲得競争:DX・AI人材の獲得競争が激化しており、優秀なエンジニアの確保・育成・待遇改善が経営上の課題だ。
クラウドシフトの脅威:従来の受注型SIビジネスは、AWSやAzureなどのグローバルクラウドプロバイダーの台頭によって一部が代替されるリスクがある。