車両設計に深く組み込まれたATシステムが生む強固なスイッチングコスト。
電動化の波の中で、系列再編後の新たなアイシンが問われている。
アイシンは、トヨタ系の自動車部品大手だ。AT(オートマチックトランスミッション)・ブレーキ・シャシー部品を主力とする。トヨタ自動車向けの供給が売上の大半を占めるが、他の完成車メーカーへの供給も行う。
2021年にアイシン精機とアイシンAWが合併し、現在のアイシンが誕生した。デンソーとの系列再編もあり、トヨタグループの部品供給体制が整理された。この統合により、重複していた機能を集約し、開発・製造の効率化が図られている。
電動化への対応では、EVに搭載される電動ブレーキシステムや電動アクスル(eAxle)の開発を推進している。ATはEV普及とともに需要が変化するリスクを抱えるが、ブレーキ・シャシー系の部品はEV時代にも引き続き必要な領域だ。
スイッチングコストが核心。ATシステムの変更は車両設計全体を見直す必要があり、容易に変えられない。エンジンとトランスミッションは一体設計であり、一度採用されたATはそのモデルのライフサイクルが終わるまで(約6〜8年)置き換えが起きない。
※概算値・参考値。投資判断の根拠にしないこと。必ず一次情報をご確認ください。
EVシフトによるAT需要縮小:EVはトランスミッションが不要か大幅に簡素化される。AT事業への依存度が高いアイシンにとって、EV普及の加速は主力製品の市場縮小を意味する。
トヨタへの高依存:売上の大半をトヨタグループ向けが占めるため、トヨタの業績悪化・方針変更が直撃する集中リスクがある。
系列再編の統合コスト:アイシン精機とアイシンAWの合併による統合プロセスには相応のコストと時間を要する。期待通りのシナジーが出ない可能性もある。