低コスト預金と信用コストの循環をどう読むか。
金利環境・NIM・資本効率が銀行の価値をどう決定するかを問いから整理する。
銀行業は、他の業種とは根本的に異なる分析フレームワークが必要です。一般企業のPER・EV/EBITDAではなく、PBR・ROE・NIM(純利ざや)・信用コスト率・普通株式等Tier1比率といった銀行特有の指標で分析します。
銀行のビジネスモデルの本質は、「低コストで調達した資金を高い利回りで運用する」スプレッドビジネスです。低コストの当座・普通預金(CASA:Current Account Savings Account)を多く持つ銀行ほど、調達コストが低く、競争優位につながります。
日本の銀行は長年の超低金利政策により、NIMが極限まで圧縮されてきました。しかし日銀の政策転換(金利正常化)により、環境は大きく変わりつつあります。金利上昇が銀行の収益力にどう影響するかを理解することが、現時点での最重要課題です。
信用コストも重要な変数です。景気後退期には不良債権が増加し、引当金計上が利益を押し下げます。経営の健全性の指標として、不良債権比率と自己資本比率を継続的に確認することが必要です。
銀行のモートは、規模・低コスト預金基盤・顧客関係の深さに宿ります。
日本のメガバンクと地方銀行は、規模・顧客基盤・グローバル展開の度合いがそれぞれ異なります。メガバンクはグローバル収益とトレーディング、地方銀行は地域密着の収益構造を持ちます。
企業を個別に見るとき、この業種で特に役立つ考え方の道具を整理しました。
業種の地形を把握したら、次は個別企業の分析へと進む。モートの概念を理解したうえで、FCFの流れを読み、テンプレートで構造を整理する——この順番で読むと、地図が精度を増す。