LEHMAN CRISIS — DEEP DIVE
2007 · 2008 · 2009 · CHRONOLOGY

危機の時系列

Timeline of the Crisis

2007年2月の最初の警告から、2009年3月の市場底値まで。
世界金融システムが崩壊していく25ヶ月間の記録。

前兆 2007年

住宅バブルの崩壊は、一夜にして起きたわけではない。2007年を通じて、警告シグナルは何度も発せられていた。

時期出来事
2007年2月HSBC、$105億の評価損を計上 — サブプライム関連で最初の大きな警告。世界最大級の銀行が損失を認めた
2007年6月ベア・スターンズ傘下の2ヘッジファンド崩壊 — サブプライムMBSに集中投資していた2ファンドがほぼ全額毀損
2007年8月9日BNPパリバ・ショック — 傘下3ファンドの償還を凍結。「公正な価値評価が不可能」と発表。ECBが€950億を緊急供給
2007年9月英ノーザン・ロック取り付け騒ぎ — 150年ぶりの英国銀行取り付け。支店前に預金者が長蛇の列
2007年10月メリルリンチ、$79億の評価損 — CEO スタン・オニールが辞任に追い込まれる
2007年12月FRBがTAF(Term Auction Facility)を創設 — 銀行間市場の機能不全に対応する緊急流動性供給

崩壊 2008年

2008年、警告は現実となった。3月のベア・スターンズ崩壊から始まり、9月の「恐怖の2週間」で世界金融システムは崩壊の瀬戸際に立った。

時期出来事
1月カントリーワイド、バンク・オブ・アメリカに買収される — 全米最大のモーゲージ貸付業者の終焉
3月14–16日ベア・スターンズ崩壊 — JPモルガンが$2/株で救済買収(1年前は$170/株)。FRBが$300億の損失保証
7月IndyMac銀行破綻 — 当時米史上3番目の銀行破綻。預金者がATM前に殺到
9月7日ファニーメイ・フレディマック国有化 — 米住宅ローンの約半分を保証する2社を政府が管理下に
9月15日リーマン・ブラザーズ破産申請(負債$6,130億)— 同日、メリルリンチがBofAに買収を発表
9月16日AIG救済、$850億 — FRBが事実上の国有化。CDSの売り手として世界中と繋がっていた
9月17日Reserve Primary Fund、元本割れ(breaking the buck) — MMF史上2度目。機関投資家がパニック的に資金引き揚げ
9月21日ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが銀行持株会社に転換 — ウォール街の投資銀行モデルの終焉
9月25日ワシントン・ミューチュアル破綻 — 資産$3,070億、米史上最大の銀行破綻。JPモルガンが預金業務を引き継ぎ
9月29日TARP否決 → ダウ777ポイント下落 — 史上最大の1日下落幅(当時)。市場がパニックに陥る
10月3日TARP可決($7,000億) — 修正版が上院・下院を通過。金融安定化の枠組みが成立
10月28日日経平均6,994円 — バブル崩壊後の最安値を26年ぶりに更新
11月シティグループ救済 — 政府が$200億注入+$3,060億の不良資産を保証

底 2009年

時期出来事
2009年3月ダウ6,547 — 2007年10月のピーク(14,164)から54%下落。同月、AIG幹部が公的資金で救済された直後に$1.65億のボーナスを受領し、国民の怒りが頂点に達した

TARP法案の劇的な経緯

2008年9月、ポールソン財務長官とバーナンキFRB議長は議会に$7,000億の緊急救済法案(TARP)を要請した。しかし、その成立までの道のりは想像以上に険しかった。

日付経緯
9月29日下院で否決(205対228) — 共和党の2/3が反対。直後にダウが777ポイント下落
10月1日修正版を上院が可決 — 預金保険の上限引き上げ等を追加し、反対派の切り崩しに成功
10月3日下院が修正版を可決(263対171) — 市場の暴落と選挙区からの圧力が議員の態度を変えた

法案審議中、議員のもとには有権者からの電話が殺到した。その比率は100対1でNo。「ウォール街を税金で救うな」という声が圧倒的だった。

「我々は資本主義を救うために社会主義を行っている」

— バーニー・フランク(下院金融委員長)
DEEP DIVE — LEHMAN CRISIS

時系列を追った先に見えるのは、危機が国境を越えて波及していく姿である。