LNG(液化天然ガス)権益と鉄鉱石権益を中核に持つ資源系商社。オーストラリア・カタール・北米などでのLNG事業は世界最大規模。三井物産の資源上流権益は、数十年にわたる先行投資によって積み上げられたもので、現在はその回収期に入っている。
一方、「Wellbeingセグメント」ではヘルスケア・介護・食品の非資源領域への転換を積極化。2030年中期経営計画では、Wellbeingをコア事業として位置づけ、資源依存からの脱却を段階的に進めている。三井物産独自の「経営者を育てる」人材育成文化も有名で、グループ全体の企業価値を底上げする人材輩出機能を果たしている。
バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが大量保有しており、総合商社の中でも「資源通行料ビジネス」の分かりやすさから特に評価が高い。鉄鉱石については豪州のロイヒル鉄鉱山への権益を有し、世界有数の生産量を誇る。
三井物産のmoatはLNG・鉄鉱石権益という「資源の通行料」にある。エネルギー転換期においても、LNGは再生可能エネルギーの不安定性を補う「つなぎ燃料」として需要が継続し、権益保有者は安定したキャッシュを生み続ける。問題は長期的な脱炭素の圧力だが、三井物産はWellbeingへの転換で中長期の軟着陸を図っている。
三井物産の最大のリスクは資源価格サイクルへの感応度にある。LNG・鉄鉱石はともに長期サイクルで価格が変動し、高値期には利益が急増するが、下落局面では収益が大幅に圧縮される。2030年代以降の脱炭素加速により、化石燃料の長期需要が構造的に低下するリスクは中長期の最重要課題だ。
Wellbeing事業への転換は方向性として正しいが、ヘルスケア・介護領域は参入企業が多く競争が激しい。資源事業の高収益を維持しつつ非資源を育てる「両利きの経営」が問われる局面にある。また、豪州・カタールなど地政学的リスクのある地域への依存も無視できない。